サッカーのJ2は8月4日の第26節を終え、〝戦国J2〟との呼び名に違わない混戦模様が続いている。J1への自動昇格圏争い、プレーオフ圏内争いはそれぞれ熾烈を極め、埼玉でいえば大宮が3位につけて奮闘中だ。〝夏の陣〟は順位の変動が大いにある時期で、大宮が関わる自動昇格圏争いに注目したい。

J2は最終節を終えて、2位までがJ1に自動昇格する。いまのところ一歩リードしているのは首位の柏だろう。破竹の8連勝で一気に順位を上げ、勝ち点52でトップに立った。とにかく攻撃が破壊力抜群で、元大宮の江坂任と瀬川祐輔、クリスティアーノ、オルンガら得点源が豊富。夏の補強で加わったマテウス・サヴィオも、すぐにゴールを決めており、牙城はますます盤石になったと言えよう。失点もリーグ最少で守備も堅い。

同50で追うのは9戦負けなしで2位の京都。20代前半の若手が活躍し、一美和成、仙頭啓矢、小屋松知哉のトリオが秀逸だ。3人でチーム全41得点中21得点を稼ぎ出した。3位の大宮は同46で柏、京都とは2試合分の差がついている。だが、巻き返しは十分可能。フアンマ・デルガド、ロビン・シモヴィッチとタイプの違う外国人助っ人がしのぎを削り、昨季J2得点王の大前元紀、茨田陽生ら前線に好人材が多い。また、攻撃ではJ1の横浜FMからイッペイ・シノヅカ、守備は名古屋から櫛引一紀を獲得して選手層が厚くなった。

横浜FCはクラブ新記録の7連勝で、同44に伸ばして4位に浮上。J2得点ランキング3位で14ゴールのイバが好調を維持し、高校生Jリーガーで17歳の斉藤光毅も能力が高い。また、J1の磐田から元日本代表MF中村俊輔が入り、良い化学反応が起こりそう。同44で5位の水戸は夏の3連戦で結果を出し切れなかったものの、堅実さがある。磐田から育成型期限付き移籍で獲得したU−22日本代表FW小川航基と、大宮からレンタル移籍中の清水慎太郎の2トップが好相性。連係が深まっていくと、勝ち点を重ねられるだろう。

6位で同43のモンテディオ山形は前半戦を首位ターンしたが、やや失速気味。チームゴール数トップの阪野豊史がJ1松本山雅に移籍したことも響く。直近5試合は1勝4敗と苦しみ、追撃へ戦術の方向転換もあるかもしれない。勝ち点40で並ぶ7位の甲府、8位の岡山あたりまでが自動昇格圏争いに絡んでくるか。前半戦の疲れが出始め、また、暑さも敵になる夏場は勝負どころ。選手の頑張りだけでなく、指揮官の知恵比べも結果を分ける。〝夏の陣〟を制したチームが、J1への下克上を果たすことになりそうだ。

(「埼玉蹴球百花繚乱」松澤明美)