多くのファンを魅了する箱根駅伝。10区間217.1㎞のレースには幾多の物語が詰まっている。これまでに96回もの継走が繰り広げられ、21世紀に入り、すでに20回のレースが開催された。

伝統が積み重なるにつれて、どの大学が一番強いのか。そんな幻想に思いをはせるファンは少なくないだろう。

そこで20年近く箱根駅伝を取材してきた筆者の独断で各大学の〝最強チーム〟を結成。「21世紀最強大学」を探るという空想(ファンタジー)を楽しんでみたい。

今回は2013年大会で前年19位から劇的なV字回復を見せて、30年ぶり10回目の総合優勝に輝いた日体大だ。

なお「選考基準」などは以下の通り。

・チームは2001年以降に箱根駅伝を走った選手で構成。

・箱根駅伝に限らず、大学時代のベストパフォーマンスを発揮したときの走力で選ぶ。

・選手名の横は大学時代の1万mベストタイム。

 

  日本体育大学

1区山中秀仁(28.26.03)

2区保科光作(28.28.20)

3区野口拓也(28.25.27)

4区北村聡(28.00.22)

5区服部翔大(28.22.79)

6区秋山清仁(28.55.61)

7区鷲見知彦(28.57.11)

8区森賢大(28.25.08)

9区矢野圭吾(28.47.79)

10区出口和也(28.34.02)

補 山口和也(28.46.82)

  本田匠(28.46.38)

  池田耀平(28.47.05)

  𠮷田亮壱(28.52.53)

  熊本剛(28.56.79)

  山田紘之(29.02.30)

 

1区は2年時(14年)に駒大・中村匠吾、早大・大迫傑らを抑えて、ハイレベルの1区を1時間1分25秒で制した山中秀仁。1年時も3区6位と好走したが、3・4年時は欠場した。

2区は〝花の2区〟を3度託された保科光作だろう。1年時(04年)は9位、3年時は3位、4年時は4位(1時間8分24秒)。2年時は故障の影響で3区にまわり、区間6位だった。

3区はこの区間で2年連続の好走を見せた野口拓也。2年時(09年)は4位、3年時は区間賞に輝いている(4年時は2区14位)。

4区は2006年の日本インカレ1万m王者・北村聡で勝負する。1年時(05年)は5区4位、2年時は5区5位、3年時は5区4位、4年時は2区8位と箱根では不発だっただけに、真の実力を期待したい。

5区は強風が吹いた箱根の山を制して、母校に30年ぶりに歓喜をもたらした服部翔大だ。1年時(11年)は3区2位、2年時は1区2位、3年時は5区区間賞。4年時は5区で東洋大・設楽啓太と1秒差の区間2位だった。

6区は「山下りの神」と呼ばれた秋山清仁。3年時(16年)は58分09秒、4年時は58分01秒をマーク。2年連続で区間新を叩き出した。

7区は2度の区間賞を獲得している鷲見知彦を選んだ。3年連続で1区を任され、1年時(04年)に1位、2年時に3位。3年時は17位に沈んだが、4年時は7区で区間賞に返り咲いた。

8区はこの区間未経験の森賢大を入れた。1年時(07年)に1区5位、2年時に3区3位と好走。3・4年時は花の2区(12位、8位)を受け持った。

9区は復路のエース区間を2年連続で快走した矢野圭吾。3年時(13年)は2位、4年時は1時間8分29秒(区間歴代4位)の好タイムで区間賞を獲得している。

10区は12年の日本選手権5000mを制したラストスパートが魅力の出口和也。箱根は3年連続で1区を走り、2年時(09年)は6位、4年時は4位だった。

リザーブは4年時(20年)に花の2区を1時間8分25秒で走破した山口和也。3年連続で2区を担い、3年時(13年)は4位だった本田匠。3年時(20年)の1区で3位(1時間1分21秒)につけた池田耀平。

𠮷田亮壱は3年時(17年)に3区4位、4年時に1区4位と好走。熊本剛は2年時(04年)に4区4位、3年時は2区6位、4年時は10区4位という成績を残している。山田紘之は4年時(05年)に10区で大幅に区間記録を更新して区間賞。総合順位を4位から2位まで押し上げた。

大エースはいないが、好選手が揃うだけに、名門の駅伝力を発揮したい。

(「学生駅伝STORY」酒井政人)