多くのファンを魅了する箱根駅伝。10区間217.1㎞のレースには幾多の物語が詰まっている。これまでに96回もの継走が繰り広げられ、21世紀に入り、すでに20回のレースが開催された。

伝統が積み重なるにつれて、どの大学が一番強いのか。そんな幻想に思いをはせるファンは少なくないだろう。

そこで20年近く箱根駅伝を取材してきた筆者の独断で各大学の〝最強チーム〟を結成。「21世紀最強大学」を探るという空想(ファンタジー)を楽しんでみたい。

今回は2009年に33年ぶりのカムバックを果たして、5度の総合優勝に輝いた青学大だ。

なお「選考基準」などは以下の通り。

・チームは2001年以降に箱根駅伝を走った選手で構成。

・箱根駅伝に限らず、大学時代のベストパフォーマンスを発揮したときの走力で選ぶ。

・選手名の横は大学時代の1万mベストタイム。

 

  青山学院大学

1区久保田和真(28.24.50)

2区出岐雄大(29.02.10)

3区森田歩希(28.44.62)

4区吉田祐也(28.42.58) 

5区神野大地(28.41.48)

6区小野田勇次(28.57.30)

7区林奎介(28.40.11)

8区下田裕太(28.33.77)

9区藤川拓也(28.20.31)

10区一色恭志(28.23.40)

補 田村和希(28.18.31)

  𠮷田圭太(28.27.40)

  小椋裕介(28.27.73)

  橋詰大慧(28.28.08)

  鈴木塁人(28.31.66)

  岸本大紀(28.32.33)

 

1区は学生駅伝で爆発力を発揮してきた久保田和真。箱根は2年連続で1区を担い、3年時(15年)は駒大・中村匠吾と1秒差の2位。4年時は区間記録と16秒差の1時間1分22秒で区間賞を奪った。

2区は悩んだが3年時のびわ湖毎日マラソンで2時間10分02秒をマークした出岐雄大を入れた。花の2区を2年連続で任され、2年時(11年)は区間4位。3年時は東海大・村澤明伸らを抑えて、1時間7分26秒で区間賞を獲得している。

3区は3年連続で箱根路を快走した森田歩希。2年時(17年)は4区2位、3年時は2区で1時間7分15秒の区間賞。4年時は3区で1時間1分26秒の区間新(当時)を樹立した。

4区は区間記録保持者の吉田祐也だ。4年時(20年)に東洋大・相澤晃が保持していた区間記録を24秒も更新する1時間00分30秒をマーク。箱根出場は1回だけだが、3年時は日本インカレ1万mで日本人トップに輝いている。

5区は3代目「山の神」こと神野大地。2年時(14年)は2区で区間6位。3年時に最長区間の5区で東洋大・柏原竜二の記録を上回る1時間16分15秒でダントツの区間賞を獲得した。不調だった4年時も5区を区間2位(日本人トップ)でまとめている。

6区は4年連続で山を下った小野田勇次。区間順位は2、2、2、1位と素晴らしかった。4年時(19年)には57分57秒の区間新(当時)を樹立している。

7区は2年連続区間賞がふたりいる。ハーフマラソン日本記録保持者の小椋裕介と迷ったが、区間タイムが上回る林奎介にした。3年時(18年)は東洋大・設楽悠太の記録を16秒短縮する1時間2分16秒の区間新(当時)。4年時も自らの区間記録と2秒差だった。

8区はこの区間で3年連続(16~18年)区間賞の下田裕太。2・3年時は区間記録に16秒差と迫っている。2年時には東京マラソンで2時間11分34秒(日本人2位)をマークした。

9区は初優勝時の主将・藤川拓也。3年時(14年)に9区を3位と好走すると、4年時は9区で区間記録に3秒差と迫る1時間8分04秒で区間賞を獲得している。

10区は4年間主力として活躍した一色恭志だ。1年時(14年)は1区6位、2~4年時は2区を務めていずれも区間3位。4年時は全日本大学駅伝のアンカーで49 秒先行していた早大を悠々と逆転している。

リザーブのレベルもすこぶる高い。田村和希は1・2年時(15・16年)に最短4区で区間賞。𠮷田圭太は2年時(19年)に9区で区間賞、3年時は高速レースの1区で7位だった。小椋裕介は4年連続で7区を走り、3・4年時(15・16年)は区間賞。4年時はユニバーシアードのハーフマラソンで金メダルに輝いている。

橋詰大慧は4年時(19年)に1区でトップと6秒差の3位。鈴木塁人は2年時(18年)に1区5位、3年時に10区2位、4年時に3区4位とマルチに活躍した。岸本大紀は1年時(20年)に2区を1時間7分03秒の区間5位と快走している。

3区で2年連続の区間賞を獲得して、3年時(16年)に金栗四三杯を受賞した秋山雄飛、2年時(20年)に5区で区間記録を上回った飯田貴之をメンバーに入れることができなかった。

直近6年間で5度の総合優勝に輝いている青学大。王者らしい風格のある〝最強チーム〟が完成した。

(「学生駅伝STORY」酒井政人)