多くのファンを魅了する箱根駅伝。10区間217.1kmのレースには幾多の物語が詰まっている。これまでに96回もの継走が繰り広げられ、21世紀に入り、20回のレースが開催された。

伝統が積み重なるにつれて、どの大学が一番強いのか。そんな幻想に思いをはせるファンは少なくないだろう。

そこで20年近く箱根駅伝を取材してきた筆者が各大学の〝最強チーム〟を考案。「21世紀最強大学」を探るという空想(ファンタジー)を楽しんでみたい。

今回は箱根駅伝に第1回大会から出場して、総合優勝7度の明大だ。21世紀の出場は05年からだが、古豪にはスピードランナーが多く入学している。

なお「選考基準」などは以下の通り。

・チームは2001年以降に箱根駅伝を走った選手で構成。

・箱根駅伝に限らず、大学時代のベストパフォーマンスを発揮したときの走力で選ぶ。

・選手名の横は大学時代の1万mベストタイム。

  明治大学

1区横手健(27.58.40) 

2区鎧坂哲哉(27.44.30) 

3区阿部弘輝(27.56.45) 

4区大六野秀畝(28.40.88) 

5区大江啓貴(29.16.69) 

6区廣瀬大貴(29.54.45) 

7区木村慎(28.37.33) 

8区有村優樹(28.41.09) 

9区菊地賢人(28.43.61) 

10区石川卓哉(28.50.42) 

補 小袖英人(28.34.33) 

  坂口裕之(28.35.47)

  文元慧(28.39.40) 

  松本昂大(28.45.10) 

  加藤大誠(29.49.48) 

  八木沢元樹(30.57.67)

1区は1万m27分台の横手健。3・4年時(15・16年)に1区を区間3位、同2位と好走している。

2区は3年時(11年)に2区を区間3位(1時間7分36秒)で走破した鎧坂哲哉を選んだ。鎧坂は10年世界大学クロスカントリー選手権の王者で、1万m27分44秒30は当時の日本人学生最高記録。4年時は坐骨神経痛の影響で10区にまわっているだけに、最高の状態での2区を見てみたい。

3区は4年時(20年)に故障上がりながら7区で1時間1分40秒の区間記録を打ち立てた阿部弘輝。3年時は3区を区間2位で走っており、4年時も状態が良ければ3区に出走する可能性が高かった。

4区は花の2区を2年連続(14、15年)で区間5位と好走している大六野秀畝。旭化成でも主力として活躍する駅伝力を存分に発揮するだろう。

5区は最長区間時代の5区を3年連続(11~13年)で任され、3・4年時は区間2位と活躍した大江啓貴。1年時は6区を走っている山のスペシャリストだ。

6区は4年連続で山下りを担った廣瀬大貴。4年時(14年)には58分16秒の好タイムで駆け下りて、区間賞に輝いた。

7区は安定した活躍を見せた木村慎。3年時(15年)に9区2位、4年時に2区6位の成績を残している。

8区は4年時(15年)に3区で区間賞と1秒差の2位となった有村優樹。1年時(3位)と3年時(2位)は8区を任されている。

9区は3年時(12年)に2区5位の菊地賢人。2年時(4位)と4年時(5位)は3区を走っているだけに、9区のコースでも持ち味を発揮できるだろう。

10区は大学4年時の日本インカレ5000mで日本人トップ(3位)を奪った石川卓哉。4年時(10年)は2区を区間6位と好走して、戸塚中継所にトップで現れている。

補欠も強力だ。まずは1万m28分30秒台のタイムを持つ小袖英人と坂口裕之。文元慧は2・3年時(13・14年)に1区を好走(2位、4位)して、4年時は最長区間時代の5区を6位でカバーしており、〝スーパーサブ〟といえる存在になるだろう。

松本昂大は3年時(08年)の日本インカレ1万mで日本人トップ(4位)。加藤大誠は20年に1年生ながら2区を1時間7分52秒で駆け抜けて、関係者を驚かせている。八木沢元樹は3年時(14年)に3区を2位で走るなど、5000m13分28秒79のスピードが魅力だ。

1万m28分30秒台の山田速人と中島大就、4年時(10年)に1区区間賞の北條尚、2年時(20年)に5区を区間5位と好走した鈴木聖人、箱根復帰時の主力だった岡本直己らを入れることができないくらい強力なチームになった。

1~3区に並べた1万m27分台トリオでトップを奪い、逃げ切りをはかりたい。

(「学生駅伝STORY」酒井政人)