全国高校サッカー選手権大会が12月30日に開幕した。埼玉代表で2年ぶり3度目出場の昌平高校は来年1月2日、初戦の2回戦で初出場となる大阪代表の興国高校と争う(12時5分・浦和駒場スタジアム)。

埼玉大会の最激戦区を勝ち上がった昌平高校。浦和南高校、武南高校の全国優勝経験校など強豪との対戦を制し、計6試合で21得点、1失点と攻守にわたって強さを見せた。県1部リーグでも15勝3分と無敗を誇り、プリンスリーグ関東参入戦出場権を獲得。参入戦では水戸ユースを4−1で退け、ジェフ千葉U−18には3−0とJリーグの下部2チームに勝利して来季の参入を決めた。

チームの中心は2年生エースのMF須藤直輝だ。得意とするポゼッションサッカーの要で攻撃を組み立て、ドリブルも秀逸。FW小見洋太も2年生で裏への動き出しや得点感覚にすぐれ、正智深谷高校との準々決勝では全5得点のうち4得点を挙げた。J3福島入りが決まっているMF鎌田大夢は日本代表FW鎌田大地(フランクフルト)の弟でパスセンスに富む。MF紫藤峻もゴールへの嗅覚が素晴らしい。

2年生ダブルブランチのMF柴圭汰とMF小川優介はボール奪取能力が高い。中盤で相手パスを奪い、攻撃に転じてチャンスを拡大する。守備もGK牧ノ瀬皓太、DF西澤寧晟ら好人材がそろっており、安定感を備える。今チームは攻守のバランスが取れており、“全国優勝”も達成可能な目標と言えそうだ。

昌平高校は全国大会でも前回王者の青森山田高校らが名を連ねる激戦ブロックに入った。初戦の興国高校は創部55年目での初出場だ。しかし、これまで毎年のようにJリーガーを輩出。その数は計15人にのぼり、OBでJ1のヴィッセル神戸に所属する古橋亨梧は日本代表入りを果たした。今チームもMF田路燿介、DF高安孝幸がJ2のツエーゲン金沢に入団する。その高安は11月24日のJ2第42節、大宮アルディージャ戦に途中出場してJリーグデビューを飾った。

チームカラーはボールを保持してゴールに迫る攻撃派。牽引するのはMF樺山諒乃介とFW杉浦力斗のU−17日本代表コンビだ。守ってもGK田川知樹らを中心とした堅守で大阪府大会は5試合で2失点と危なげなかった。

昌平高校は初戦から気の抜けない相手との戦いとなる。だが、落ち着いて試合に入れば勝機は十分にあるだろう。台風の目になる可能性を秘めており、埼玉県勢にとって38年ぶりの優勝旗を持ち帰ってほしいところ。力を持っているだけに大きい期待を背負うが、プレッシャーを跳ねのけてくれると信じている。

(「埼玉蹴球百花繚乱」松澤明美)