イメージトレーニングは、身体を動かさずに運動技能を想起させるものになります。前々回に、作戦能力を高めるためのトレーニングとしてイメージトレーニングを挙げましたが、その効果としては「現在練習しているスポーツスキルの習得や習熟」「集中力の向上など感情の強化」「試合の疑似体験」の3つが挙げられています。

メンタルトレーニングは、自分の持つ力を発揮させるための練習法

トレーニングの方法としては、そこまで難しくありません。静かな部屋で目を閉じ、リラックスして頭の中でイメージするだけです。実際の動作と正確に一致させ、明瞭に想像でき、イメージを自由にコントロールさせられるかが特に重要になります。

スポーツスキルの習得をイメージする際は、「自分が行う視点」から筋感覚や運動感覚を想起させます。水泳で初心者がバタフライの泳法を習得するような場合は、上記のようなトレーニングを行ってもいいでしょう。

またフォーメーションや戦術・作戦といった試合をイメージする際は、「他者の視点」から自分のプレーを見ているよう想起させてみましょう。サッカーでもフォーメーションなどをイメージする場合は、上空から俯瞰して自分のプレーを想起すると分かりやすいはずです。

このようにイメージさせることは、脳や筋、神経といった機能においても実際プレーしたときと同様の活動をしていることが研究結果として報告されています。運動をしなくても効果が現れるトレーニングですので、手軽に取り入れられるのではないでしょうか。作戦能力(試合の疑似体験)だけではなく、イメージトレーニングはスキルの習得や感情にも効果が及んでいることが分かると思います。

なお、作戦能力に関係する予測力や判断力を鍛える方法については、後に記す「知覚トレーニング」でも詳しく紹介します。イメージトレーニングとともに参考にしてみてください。

※『note』より加筆・修正。

(「パフォーマンスを上げるためのスポーツ心理学」松山林太郎 )