東京ドームはいわずとしれた巨人の本拠地であり、2003年まで本拠地だった日本ハムも年3カード程度を開催している。
さらに今年はソフトバンクの「鷹の祭典」、ロッテの「BLACK BLACKデー」、楽天の「楽天スーパーナイター」、昨年は西武が「ライオンズクラシック」を開催した。これらのゲームはいずれもオリジナルユニフォームやペンライトなどを配布するイベント試合で、前売り即完売の大盛況となる。

東京のド真ん中にあり交通至便な東京ドームの動員力は極めて高い。さらに日本ハムの移転以来、東京はパ・リーグ不毛の地となり、ファンの需要も少なくない。パ・リーグ各球団の本拠地の収容人数はほとんどが3万人台だが、東京ドームなら4万6000人になる。主催球団としてはせっかく超満員のイベント試合を打つなら大きな器でということもあるのだろう。

そんな近年のパ・リーグ東京ドーム開催のさきがけともいえるのが2000年代に行われていたオリックスの東京ドームでの主催試合だ。今回、ご紹介するのは2008年4月20日のオリックス対ロッテの半券。球場の窓口で当日発券したもので、「TOKYO DOME」の印が押されている。巨人、日本ハムの当日券とデザイン的にはほぼ同じだが、チームロゴが入っておらずよりシンプルだ。

4月20日 5回戦 東京ドーム
ロ 000015000…6
オ 000000000…0
勝 成瀬 3勝1敗
敗 近藤 2勝2敗
本 大松5号(近藤)、橋本3号(近藤)、今江1号(ヤング)

このオリックスの東京ドーム開催は04、05、07~09年の5シーズン10試合が行われたが、近年のパ・リーグのイベント試合と異なり「オリックスグループ従業員の福利厚生と取引先の接待」を目的としたもの。実際、球場では関係者と思しき人が「去年は西武戦で客が入らなかったから、今年はロッテ戦にして観客呼ぼうと思ったみたいだけど、たいして入ってないな」みたいなことをいっていたり、あちこちで顔見知りのグループが目立ち、まるで都市対抗でも見に来ているようだった。もちろんユニフォームが無料で配られることなどなく、宮内オーナーが来るとか、関係者向けの特別なイベントがあるわけでもなく、2階席は封鎖されていて、この日の観客は23,147人。神戸や大阪で主催試合をするよりは少しはマシということなのか。関係者にタダ券撒いていたのだろうから収益は減りそうなものだが、オリックス本社が福利厚生の経費として計上でもしたのだろうか。

今日のパ・リーグ各球団の東京ドームでのイベント試合の盛況を見れば、東京ドームで主催試合をしようという発想は良かったのだろうが、会社の運動会や慰安旅行くらいの内向きなノリで客を集めようという気はあまりなかったということなのだろうか。09年にリーマンショックがあり「経費削減方針に沿って」というこれまた内向きな理由で10年以降、オリックスの東京ドーム開催は行われていない。オリックスが頑なに東京ドームのイベント試合に乗っからないのは、この「失敗」があったからというのはイヤミが過ぎるだろうか。

(「プロ野球半券ノスタルジア」石川哲也 )