22チームによる熱戦が繰り広げられているJ2はリーグ約3分の1の第15節を終えた。首位の水戸ホーリーホックから10位の東京ヴェルディまでが勝ち点9差と詰まっており、優勝の行方が読めず、これから見ても十分に楽しめる。主に元J1チームがリーグを引っ張っているものの、水戸ホーリーホックは昨季10位でJ1経験はなく、9位のFC琉球はJ3からの今季昇格組。台風の目と言える両チームは埼玉男子もそろっており、ここで取り上げてみたい。

水戸ホーリーホックは開幕から12戦無敗を記録するなど話題をさらってきた。組織力とハードワークを持ち味とするチームの中心となるのは、3位の大宮アルディージャから期限付き移籍中の2トップ、清水慎太郎と黒川淳史だ。息の合った連係がここまでの好成績を支え、チーム計15得点のうち清水、黒川ともに3得点ずつをマーク中。リーグ最少5失点の堅守も前線からの守備が効いているからこそのものだろう。

埼玉的視点で見ると、清水は新座片山FC−浦和ジュニアユース−西武台高校出、黒川は江南南SS−大宮ジュニアユース−大宮ユース、DF細川淳矢は大芦SS(鴻巣市)−吹上中−武南高校出、DFンドカ・ボニフェイスは越谷サンシンSSS−大宮ジュニアユース−浦和東高校出で、それぞれ生粋の埼玉男子。応援したくなる要素が満載だ。このほか、セットプレーのキッカー役を務める右サイドハーフの茂木駿佑、左サイドバックの志知孝明もキックの精度が高くオススメのプレーヤー。また、選手一人ひとりがチームのために体を張り、献身的に戦う姿を、ぜひとも見てほしい。

琉球はとにかくホーム戦でめっぽう強い。J3だった2017年9月からホーム負けなしを更新し続け、現在は29試合に伸ばした。今季から指揮を執る樋口靖洋監督は「沖縄の青い空、澄み渡る海には、守備的なサッカーは似合わない」との信条の下、流麗なパスワークからの超攻撃的サッカーは必見だ。元J1勢の実力派チームにも真っ向勝負する独自のスタイルは、攻撃のキーマン中川風希(武南高校出)が横浜F・マリノスに移籍しても変わらない。

センターFWの鈴木孝司は9ゴールで得点ランキング2位につける。チーム全体では21得点とリーグ3位で、目指すサッカーに違わぬゴール数を稼ぐ。埼玉県出身者は中川の移籍後は3人。新井純平は江南南SS−浦和ジュニアユース−浦和ユースと埼玉のエリート街道を走ってきた。内藤健太は若松キッカーズ(所沢市)を経て、中学年代からは埼玉県外チームへ。富所悠は小学生年代から東京ヴェルディの下部組織で育った。

これから夏場を迎え、さらに混戦しそうなJ2。水戸と琉球の両チームに注目しつつ、お気に入りのチームを見つけて観戦に駆けつけてみてはいかがかな?

(「埼玉蹴球百花繚乱」松澤明美)