多くのファンを魅了する箱根駅伝。10区間217.1kmのレースには幾多の物語が詰まっている。これまでに95回もの継走が繰り広げられたが、年によってレースのレベルは異なる。では、いつの時代の箱根駅伝が〝ハイレベル〟だったのか。そんな幻想に思いをはせるファンは少なくないだろう。

2018年シーズンの〝年間王者〟はどの大学だ? 独自のポイントでジャッジ

大会ごとにレース条件、気象条件が異なるため、タイムだけでは判断できない。そこで各大会の「4年生ベスト16」を選出していきたいと思う。アスリートたちは同学年に強いライバル意識を持ち、年下には負けらえないという気持が強い。もし全員が〝同学年〟だったとしたら、どの年代が強いのか。そんな空想(ファンタジー)を楽しむことができるのではないだろうか。

初回となる今回は東海大が悲願の初優勝を遂げた2019年大会(第95回)だ。東洋大が往路を連覇して、4連覇中だった青学大が復路Vで意地を見せた。気象条件に恵まれたこともあり、5区間(3、4、5、6、8区)で区間記録が誕生している。
※第95回大会(2019年)のリザルトは関東学連サイト「総合公式記録」をご参照ください。

なお「選考基準」は以下の通り。
・箱根駅伝の結果(4年間)を最重視
・その他の大会結果なども考慮(卒業後の実績は考慮しない)
・4年時の実力で最高の状態だと想定
・留学生は対象外
・区間コースは現行のものとする

2019年大会の「4年生ベスト16」
1区橋詰大慧(青学大)28.28.08
2区塩尻和也(順大)27.47.87
3区森田歩希(青学大)28.44.62
4区山本修二(東洋大)28.50.64
5区山田攻(順大)29.47.14
6区小野田勇次(青学大)28.57.30
7区林奎介(青学大)28.40.11
8区中山顕(中大)28.22.59
9区堀尾謙介(中大)28.34.54
10区片西景(駒大)28.37.41
補欠 梶谷瑠哉(青学大)28.39.07
補欠 山藤篤司(神奈川大)28.25.27
補欠 清水歓太(早大)29.24.33
補欠 小笹椋(東洋大)29.01.06
補欠 湯澤舜(東海大)29.13.44
補欠 湊谷春紀(東海大)28.41.77
※タイムは大学時代の1万m自己ベスト

2区は日本人最高記録(1時間6分45秒)で快走した塩尻和也(順大)。3区、6区、7区は同区間の区間記録保持者である森田歩希、小野田勇次、林奎介の青学大トリオを配置。1区は区間3位と活躍して、出雲駅伝1区で区間賞を奪った橋詰大慧(青学大)、4区は箱根2区で区間4位、前年に3区区間賞の山本修二(東洋大)を選んだ。

5区は3年連続で山を好走した山田攻(順大)で、8区には1区区間2位の中山顕(中大)をまわした。9区は東京マラソン2019で日本人トップ(2時間10分21秒の5位)を飾った堀尾謙介(中大)、10区はユニバーシアード2017のハーフマラソン金メダリスト・片西景(駒大)という豪華メンバーを組むことができた。

補欠も実力者揃いで、学生ハーフ王者の梶谷瑠哉(青学大)、トラックでも活躍した山藤篤司(神奈川大)、2018年大会の9区区間賞・清水歓太(早大)、同10区区間賞の小笹椋(東洋大)。他に東海大の初優勝に貢献した湯澤舜と湊谷春紀の東海大コンビを選んだ。

人数の都合でメンバーに入れることはできなかったが、この学年には、坂東悠汰(法大)、堀合大輔(駒大)、畔上和弥、竹下凱、横井裕仁(ともに帝京大)、樋口陸(中央学大)、永山博基(早大)、坂口裕之(明大)、永戸聖(山梨学大)、住吉秀昭(国士大)、近藤秀一(東大)らがいる。箱根駅伝の歴史でも有数の〝当たり年〟といえそうだ。

(「学生駅伝STORY」酒井政人 )