埼玉県高校サッカー界には昨季、サックスブルーの旋風が吹いた。

その正体は、「成徳大深谷高校サッカー部」。新人大会、関東大会県予選を制して2冠を飾ると、高校総体県予選では4強入り。さらに、冬の全国高校選手権埼玉大会でもベスト4に進出して、4大会すべてで初快挙づくしと話題をさらった。県内強豪に成長したチームは2月9日、新人大会1回戦(12時30分キックオフ・埼玉工大会場)に臨む。国際学院高校と対戦し、今季を占う重要な一戦となりそうだ。

みっちりと筋肉がつまった体格の選手たち。そして、さえるロングスローが伝家の宝刀。全員が体を張り、粘り強く戦う姿はすがすがしく、一度見ると応援せずにはいられない魅力を放っている。指揮を執るのは名門・武南高校サッカー部出身の為谷洋介監督。全国大会を幾度となく経験した名サイドバックで、高校3年時には主将も務めた。為谷監督と同じ歳の筆者はリアルタイムで活躍ぶりを目の当たりにしてきた。心のヒーローにお会いするたびに、青春時代の乙女心を思い出し、いまだに緊張するほどだ。

そのころには成徳大深谷高校サッカー部はなかった。当時は女子校で1996年の男女共学化にともなって創部。為谷監督は一般企業勤務を経て2003年に就任した。「凡事徹底」をスローガンに選手は日々精進。サッカーだけでなく、学校生活から地道な努力を続け、着実に結果につなげている。また、地域の小・中学生とサッカーを通しての交流や、Jリーグチームの練習試合への審判派遣など選手の人間的成長を促す取り組みも多い。

それでも知名度は県内においても、発展途上中。中学生や保護者の方々は、まだまだ耳慣れないかもしれない。チームは新たな試みとして、ホームページ作成に着手した。「成徳大深谷高校サッカー部はどんなチームなのか。どんな理念のもとに活動しているのか。どんな取り組みをしているのかなど、多くの人に知ってもらえたら」と為谷監督。ホームページはサッカー部OBの須田暁大コーチが担当し、情報は豊富で見応えあるものに仕上がった。

気になった方はぜひ、ホームページのぞいてみてほしい(https://seitoku-fc.com)。試合にも足を運んでもらえれば、サックスブルーの戦士たちのひたむきなプレーに胸を打たれることだろう。

(「埼玉蹴球百花繚乱」松澤明美)