かつて一世を風靡した〝赤き血のイレブン〟が17年ぶりに全国の舞台に戻ってくる。全盛期を見てはいなくても、埼玉サッカーファンなら胸が熱くなる。そんな浦和南高校の豆知識を、少しでもお伝えできればと思う。

『赤き血のイレブン』は梶原一騎原作による大人気漫画の名前だ。1969年、創部6年目にして全国総体、国体、選手権と史上初の高校3冠を飾った浦和南高校をモデルに描かれた。主役の玉井真吾は当時のFW永井良和選手といわれ、永井選手は日本代表にも選出された名プレーヤー。いまや浦和レッズのチャントでおなじみの〝赤き血のイレブン〟は、実のところ本家は浦和南高校で1970年には誕生していたことになる。

浦和南高校を率いるのはOBの野崎正治監督。漫画にまでなった全盛期にMFでプレーして名をはせた。浦和東高校監督時代には日本代表GK川島永嗣を育てるなど多くの名選手を輩出。ほめて伸ばす平成的指導ではなく、叱咤激励の昭和的指導で指揮を執る。ほめられると気恥ずかしくなる昭和生まれの筆者にとっては、こちらの指導法のが、なじみがあって好ましい。また、野崎監督はソース顔の渋いタイプで、さぞやおモテになるのではないかと勝手に想像してしまう。

選手たちも平成生まれのはずなのに、純朴な感じのイケメンばかり。全国に出場して、注目され、ブラッシュアップされるのも、なんだかもったいないほどの無垢さ。中でもオススメしたいのは草野皓くんと狩集洸哉くん。2人ともロングスローを得意とし、選手権埼玉県予選では大活躍した。実力、容姿ともに申し分なく、ぜひとも試合会場へ足を運んでほしい。ひたむきなプレーと整った顔立ちに乾いた心が潤うこと請け合いだ。

さて、選手権1回戦は福岡代表の東福岡高校と対戦する。今夏の高校総体2回戦でも戦い、0―3と完敗。辛酸をなめた相手へのリベンジの機会となる。両校ともに選手権では3度優勝している強豪同士。ここ数年は東福岡が力をつけてはいるが、〝赤き血〟が騒がずにはいられないめぐり合わせだ。12月31日、NACK5スタジアム大宮で12時5分キックオフ。お時間がある方はぜひとも観戦を。〝赤き血のイレブン〟の再旋風が巻き起こるか。見逃してはもったいないぞ。

(「埼玉蹴球百花繚乱」松澤明美)