今回で第50回大会の節目を迎える全日本大学駅伝。大会2日前の昨日(11月2日)、出場校の「区間エントリー」が発表された。前回までは1区(14.6km)、2区(13.2km)、4区(14.0km)、8区(19.7km)に主力を配置するのがオーソドックスな戦術だったが、今大会から中継所が変更。1区9.5km、2区11.1km、3区11.9km、4区11.8km、5区12.4km、6区12.8km、7区17.6km、8区19.7kmという距離設定になる。

7区(11.9km)が5.7km延びた一方で、前半部分の〝メリハリ〟がなくなり、区間配置が難しくなった。「先制攻撃」か、それとも「終盤重視」か。今大会の〝3強〟といえる青学大、東洋大、東海大の区間エントリーから伊勢路のレース展開を予想してみたい。

3強の区間エントリーは以下の通りだ。※当日変更で3名まで交代可能。

  【青学大】
1区湯原慶吾(1年)
2区神林勇太(2年)
3区鈴木塁人(3年)
4区林奎介(4年)
5区吉田祐也(3年)
6区𠮷田圭太(2年)
7区岩見秀哉(2年)
8区梶谷瑠哉(4年)
補員
 小野田勇次(4年)
 橋詰大慧(4年)
 橋間貴弥(4年)
 森田歩希(4年)
 竹石尚人(3年)

  【東洋大】
1区田上建(2年)
2区西山和弥(2年)
3区今西駿介(3年)
4区浅井崚雅(2年)
5区渡邉奏太(3年)
6区鈴木宗孝(1年)
7区𠮷川洋次(2年)
8区相澤晃(3年)
補員
 小笹椋(4年)
 中村拳梧(4年)
 山本修二(4年)
 定方駿(3年)
 大森龍之介(2年)

  【東海大】
1区塩澤稀夕(2年)
2区關颯人(3年)
3区館澤亨次(3年)
4区西田壮志(2年)
5区鬼塚翔太(3年)
6区郡司陽大(3年)
7区湊谷春紀(4年)
8区湯澤舜(4年)
補員
 小松陽平(3年)
 髙田凜太郎(3年)
 中島怜利(3年)
 西川雄一朗(3年)
 松尾淳之介(3年)

全選手の状態を把握しているわけではないので、当日変更を予想するのは難しいが、選手交代を考慮して、3強の〝戦略〟を解説したい。

まずは今季2つめの優勝を狙う青学大だ。1区と7区の変更が有力で、そこに出雲1区で区間賞を奪った橋詰大慧、同3区で区間2位と好走した森田歩希の起用が予想される。最終8区も出雲でアンカーを務めた竹石尚人に変更する可能性があり、スピードのある小野田勇次を2区にぶつけるオーダーも考えられる。

いずれにしても盤石の布陣といえるだろう。注目は「1区橋詰」と4区林奎介だ。出雲と同じように1区で抜け出すことができれば、2区以降も強力メンバーが並ぶだけに、そのまま逃げ切ることができる。そして学生駅伝は今年の箱根(7区区間新)しか経験していない林がどんな走りを見せるのか。5区、6区は日本インカレの1万mと5000mで日本人トップに輝いた吉田祐也と𠮷田圭太で、「7区森田」もライバル校にとっては嫌な配置だ。

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出雲で終盤に青学大を追い込んだ東洋大は、7区に𠮷川洋次、8区に相澤晃を起用。終盤の〝逆転劇〟を見込めるオーダーを組んできた。出雲を欠場した渡邉奏太が5区にエントリーされたのもプラス材料だ。順当なら1区と4区は変更すると見ていい。山本修二をどちらに入れてくるのか。

青学大に勝つためのキーマンは西山和弥だろう。出雲は本調子ではなかったが、本来の走りが戻れば、2区で青学大を攻撃できる。3~6区を粘り、アンカー決戦に持ち込みたい。8区相澤の実力を考えれば、30~40秒差なら追いつくことができるだろう。

東海大は出雲で3位に終わったが、前年の出雲Vメンバー3名を欠いた結果だった。そのうち全日本では鬼塚翔太が5区にエントリーされ、松尾淳之介も補員に入った(三上嵩斗は外れた)。阪口竜平の欠場は痛いが、5000mと1万mの平均タイムでトップにつける総合力でカバーするしかない。

7~8区は青学大&東洋大と比べて落ちるだけに、「それまでに勝負をつける」という両角速駅伝監督の狙いが十分に伝わってくる区間配置になった。故障あがりの塩澤稀夕は2週間前の日体大長距離競技会5000mで14分13秒と微妙な結果。1区は出雲に続いて西川雄一朗を起用することも考えられる。いずれにしても1区で好位置につけたい。そして2区關颯人と3区館澤亨次で抜け出して、5区鬼塚で後続との差を拡大。5区終了時までに大量リードを奪い、逃げ切る作戦だ。

青学大の有利がささやかれる中で、東洋大と東海大は狙い通りのレースができるのか。新たな戦いとなる伊勢路は、明日11月4日(日)の朝8時05分にスタートが切られる──。

(「学生駅伝STORY」酒井政人 )