駅伝は区間タイムにより、区間順位が決まる。しかし、1区以外は基本、時差スタートとなり、レース状況が変わってくる。たとえば、首位でタスキをもらったランナーと最後尾からスタートを切ったランナーが同タイムの場合、走りの〝価値〟としては、後者の方が高い。各選手が同じ状況で走るわけではないため、筆者は以前から、区間順位だけでは測ることができない「評価」が必要ではないかと感じていた。

たとえば箱根駅伝2区で区間順位では下位に沈んだとしても、1時間10分台で走れば、出場選手の中では平均値以上の評価になる。各区間でコースや距離が異なることを考えると、サッカーの選手採点のように共通の〝モノサシ〟があってもいい。

そこで、区間タイムや区間順位だけでは読み取れない個々の評価が必要だと思い、これからは各選手の〝走り〟を「採点」していきたい。まずは10月8日に行われた出雲駅伝のトップスリーに入った大学を対象に実施してみた。正直、実験段階ともいうべきものになるが、ご覧いただきたい。

※ジャッジは10.0点満点で【7.0】を平均値として評価しています(サッカーと異なり、基本は5.0~9.0の間で採点)。

記録の詳細については、「第30回出雲全日本大学選抜駅伝競走ホームページ」をご参照ください。

1位 青山学院大学 2時間11分58秒
1区橋詰大慧(4年)①23:15【8.5】
2区鈴木塁人(3年)①16:26【8.0】
3区森田歩希(4年)②25:21【8.0】
4区𠮷田圭太(2年)①18:00【8.0】
5区生方敦也(3年)②18:48【7.5】
6区竹石尚人(3年)③30:08【8.0】

2位 東洋大学 2時間12分10秒
1区相澤晃(3年)②23:21【8.0】
2区西山和弥(2年)⑥16:54【7.5】
3区山本修二(4年)③25:23【8.0】
4区小笹椋(4年)④18:09【7.5】
5区今西駿介(3年)①18:30【8.0】
6区𠮷川洋次(2年)①29:53【8.5】

3位 東海大学 2時間13分31秒
1区西川雄一朗(3年)⑥23:35【7.5】
2区館澤亨次(3年)②16:29【8.0】
3区中島怜利(3年)⑫26:12【7.0】
4区關颯人(3年)②18:06【7.5】
5区郡司陽大(3年)③18:51【7.5】
6区湯澤舜(4年)④30:18【8.0】

MVPは青学大の1区で好スタートを切った橋詰大慧(4年)で文句ないだろう。東洋大・相澤晃(3年)に6秒差をつけて、チームに勢いをもたらした。評価としては【9.0】に近いものがある。

青学大は2区鈴木塁人(3年)と3区森田歩希(4年)も堅実なレース運びの中で強さが光った。東洋大は3区山本修二(4年)とアンカーで青学大を追い詰めた𠮷川洋次(2年)を評価した。東海大は2区館澤亨次(3年)と6区湯澤舜(4年)以外は、もう少しという感じではないだろうか。

今回は初めての「採点」ということで、ジャッジに戸惑う部分が多かったが、今後も続けていきたいと思っている。皆さまに、駅伝をより深く理解していただき、選手たちの頑張りを新たな数値で感じていただければ幸いだ。

(「学生駅伝STORY」酒井政人 )