2月13日に維新みらいふスタジアム(山口県)発着で全日本実業団ハーフマラソンが開催された。今大会は日本学連が推薦した9名の男子学生選手も出場。香川丸亀国際ハーフマラソンが新型コロナウイルスの影響で延期となり、世界ハーフマラソン大会選考会出場の機会を設けるための救済処置だ。

雨の中、山野力(駒大3)、山本歩夢(國學院大1)、松山和希(東洋大2)が8年ぶりにハーフマラソンの日本学生記録(1時間0分50秒)を更新する走りを見せた。

地元・山口を走るレースで学生記録保持者となった山野。2年時には全日本大学駅伝(6区/区間4位)、箱根駅伝(9区/区間6位)で優勝を経験している。今季は関東インカレ男子2部ハーフマラソンでは9位。7月には5000mで13分54秒17の自己ベストをマークしている。故障もあり、7月ぶりのレースとなった箱根駅伝では2年連続の9区に出場。6番手で戸塚中継所を飛び出すと、4位まで順位を押し上げて駒大の3強入りを引き寄せた。

その山野はスタート直後から先頭集団につけると実業団選手に臆することなく、15kmでは集団の前方に位置をとる。15kmから20kmのラップタイムは全選手の中でトップ。ゴール地点となる維新みらいふスタジアムに最初に戻ってきた。トラックに入ってからは実業団選手が仕掛けたラストスパートが上回ったが、全体4位の1時間00分40秒でフィニッシュ。駒大の先輩にあたる村山謙太(旭化成)が持つ日本学生記録を10秒縮めて、学生界の頂点に登り詰めた。

これまで山野はチームの主力を担いながらも、話題になるのはオレゴン世界選手権の男子10000m参加標準記録(27分28秒00)を突破している大エース・田澤廉(3年)や日本選手権男子10000m3位の鈴木芽吹(2年)らだった。新チームも圧倒的な存在感で田澤がチームをけん引するだろうと思っていた人は少なからずいたのではないだろうか。

しかし、これからは山野も主将という役割のみならず、走りでもチームに大きな影響を与えるはずだ。最終学年を迎え、これからどのような活躍で、そしてどのようなキャプテンシーでまとめ上げるのか。チームを創り上げた先には駒大悲願の〝駅伝3冠〟が待っている。

(「学生陸上スポットライト」野田しほり)