2年ぶりの出雲駅伝は初出場の東京国際大が優勝を飾り、幕を閉じた。

レース中に気温は30度を超え、2位以下はゴール直前まで順位争いを繰り広げた今大会。率直に若い選手が多いなと感じた。例年、出走する4年生の数は30を超える。多い年には4年生が40名以上にもなるが、今回は21名。

その一方で1年生の出場が多かった。ここ数年、ルーキーは10名を超えるくらいのことが多いが、今年は23名が出雲の地を踏んだ。20名を超えたのは2016年に〝スーパールーキーズ〟が東海大に入学した年以来のことである。

まず魅せたのは早大の4区を託された石塚陽士。3位の青学大と10秒差、2位創価大と14秒差でタスキを受け取ると1㎞過ぎで青学大のルーキー・若林宏樹とともに2位創価大に追いつく。

それでもペースを緩めることなく、5㎞に差し掛かる頃には単独2位に浮上。3位になった青学大との差も30秒離し、同級生の伊藤大志にタスキを渡して三大駅伝デビューを区間賞で飾った。

続く5区では5000mの前・高校記録保持者の石田洸介が躍動する。第4中継所を6番目にスタート。10秒ほど先を行っていた3位青学大を2㎞過ぎで捉えると追い風をものともせずに4㎞過ぎで早大をかわして単独2位に浮上。そのまま後続を突き放し区間賞を獲得した。

國學院大のアンカー平林清澄(1年)は2位東洋大と14秒差の3位で中継所を後にすると、2㎞で東洋大・柏優吾に追いつく。しばらく並走するが、4㎞過ぎには柏との差を広げて一つ順位を上げた。

ゴール直前に後ろから追ってきた青学大・横田俊吾、さらには懸命の想いで差を取り戻してきた柏が平林を追い抜き、4位でフィニッシュ。結果として順位を落とし、表彰台に立つことができなかったが、最長区間を果敢に攻めたこのレースは得るものが多かっただろう。

今回大舞台を体験した1年生たちは4年間でどれだけ成長し、観る者を魅了させてくれるのか楽しみである。そして、石田はパリ五輪出場を目指すと公言しているが、世界を目指し、目指せる選手が増えることを期待したい。

そういえば、近年で1年生の出場数が今回に迫る22名だった2016年。当時出場はしていないが、東京五輪男子10000mに出場した相澤晃(東洋大、現・旭化成)と伊藤達彦(東京国際大、現・Honda)もルーキーイヤーだった。

今春大学に入学した選手たちも〝黄金世代〟と呼ばれるときが来るかもしれない。

(「学生陸上スポットライト」野田しほり)