日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競争男子シニアの部、ラスト1㎞で縦長の集団から飛び出した三浦龍司(順大)と松枝博輝(富士通)。手が届きそうなほど僅かな差での決着は手に汗を握った。この戦いを制した三浦の実力は言わずもがな。7位入賞、学生2位の成績を収めた藤本珠輝(日体大2)に注目したい。

西脇工を卒業すると藤本は日体大に進学。1年の箱根駅伝予選会をきっかけに名前を覚えた人も多いのではないだろうか。個人14位の1時間3分54秒でゴールしたのだ。そして11月の上尾シティハーフマラソンでは1時間2分53秒とルーキーながらチームトップの記録を叩き出した。

2年生になった今年度も箱根駅伝予選会で1時間2分13秒と自己ベストを40秒も更新し、本戦出場に貢献。加えて昨年11月には5000mで13分36秒39をマークしたことで、12月に行われた日本選手権男子5000mにも出場している。

2度目の箱根駅伝を終え、藤本は日本陸上競技選手権大会クロスカントリー競争に登場。この大会は高低差6mの上り坂や、3連続でアップダウンを繰り返す通称「キャメルヒルズ」のある1周2㎞のコースを5周する。1年時に箱根駅伝5区を託された藤本にとっては苦手ではないだろう。

藤本はスタート直後から先頭集団中盤を位置取る。2周目を3位で通過すると、3周目ではで集団の先頭立って実業団選手をも引っ張った。終盤に差しかかると先頭集団の後方で粘り、7位入賞を果たした。記録は29分21秒だった。起伏の激しいコースで、10000mの自己最高記録30分14秒18を上回ったのだ。もうすぐ始まるトラックシーズンの10000mでも成長した姿を見せてくれるだろう。

次なる戦いは3月14日、日本学生ハーフマラソン選手権大会。今季で卒業するエース・池田耀平の1時間1分36秒に次期エースとしてどれほど近付けるか。池田のタイムに並ぶには自己ベストを1分30秒ほど縮める必要があるが、大学入学後の成長を見ると藤本が日体大の〝大エース〟となる日は遠くないだろう。

(「学生陸上スポットライト」野田しほり)