例年であれば5月は全国各地で陸上競技の大会が開かれる。そのうちの一つ、関東インカレは各校1種目最大3名をエントリーすることができる。8位入賞者に与えられるポイントの合計で学校ごとの順位を競い、1部と2部の入れ替えを行う大会だ。長距離種目で上位となった選手はその後、駅伝シーズンでも活躍することが多い。

昨年の男子1部1万mで関東インカレに初出場した池田耀平(日体大・当時3年)。チームトップも10位と入賞を逃しており、特に話題となることはなかった。しかし、2週間前の日体大競技会5000mでベストとなる13分58秒52を記録しており、2019年度を振り返ると池田の躍進はこの頃すでに始まっていたのだと気付かされる。

秋になり、池田の勢いが増す。

72回連続の箱根駅伝出場をかけた予選会。池田は全体23位の1時間4分16秒でゴールし、チームに貢献。この時、日体大は3番手で本戦出場を決めている。

11月に行われた1万m記録挑戦競技会では28分47秒05の自己記録をマーク。学内の1万mランキングは4年生を抑えてトップになった。

そして1年の集大成ともいえる箱根駅伝。2年連続のスターターとして先頭集団でレースを進め、鶴見中継所に3位で飛び込む。昨年は1時間3分10秒(区間12位)。今年は1時間1分21秒。タイムを2分近く短縮した。

その後も池田の成長は止まらない。

2月上旬の香川丸亀国際ハーフマラソンは、日本記録を樹立した小椋裕介(ヤクルト)や藤本拓(トヨタ自動車)らと10km過ぎまで並走。トラックタイマーが1時間1分36秒を示しているのが見えたのだろう。池田は両手でガッツポーズをしながらゴールした。2年時に出した自己ベスト(1時間4分06秒)を大きく更新したのだ。この結果で、ハーフマラソンのタイムは関東の日本人大学生トップに躍り出た。

2月末のクロスカントリー日本選手権はシニア10kmの部にエントリー。大学生のみならず、実業団選手も相手に、4位入賞を果たしている。

この流れのままトラックシーズンが開幕していたら、どんな活躍をしていただろうか。関東インカレで池田はエースとして大きくチームに貢献していたしていたのではないかと考えてしまうほど、この1年で目覚しい成長を遂げている。

これから来る夏を経て、さらに強くなるだろう。〝74年目の箱根駅伝〟へ、日体大の新エースはどんなかたちでタスキを渡すのだろうか。

(「学生陸上スポットライト」野田しほり)