通算登板数ベスト10には2013年までプレーしていたマリアーノ・リベラや、2015年までプレーしていたラトロイ・ホーキンスなど近年まで活躍していたクローザー、セットアッパーが目立つ。投手の分業制が確立し、短いイニングを数多く投げる救援投手が増えたことが要因だろう。

通算登板ベスト10
名前(所属チーム)登板数 勝 敗 S 先発
1 ジェシー・オロスコ(ツインズ) 1251 87 80 144 4
2 マイク・スタントン(レッズ)1178 68 63 84 1
3 ジョン・フランコ(アストロズ)1119 90 87 424 0
4 マリアーノ・リベラ(ヤンキース)1115 82 60 652 10
5 デニス・エカーズリー(レッドソックス)1071 197 171 390 361
6 ホイト・ウィルヘルム(ドジャース)1070 143 122 227 52
7 ダン・プリサック(フィリーズ)1064 65 71 158 14
8 マイク・ティムリン(レッドソックス)1058 75 73 141 4
9 ケント・テカルヴ(レッズ)1050 94 90 184 0
10 ラトロイ・ホーキンス(ブルージェイズ)1042 75 94 127 98
※2019年シーズン終了時

歴代名救援投手たちのトップに立つのがジェシー・オロスコだ。オロスコもクローザーとして活躍した時期はあったが、主な持ち場は左のワンポイント。1979年から2003年まで通算24シーズンの現役生活のうち、半分以上の14シーズンで登板数が投球回数を上回っている。

ベスト10の全員がクローザー、セットアッパー経験者で占めるこの記録だが、一登板あたりの体力の消耗が少ない分、選手寿命が長くなるというわけでもないだろうが、全員が40歳を過ぎてマウンドに立っている。1972年以来、長らくメジャー記録だった1070試合登板のホイト・ウィルヘルムは49歳まで、それを塗り替えたデニス・エカーズリーは43歳まで、そして現記録保持者のオロスコも43歳まで投げている。

オロスコの晩年はちぎっては投げの投球だったが、最後のシーズンでさえ3チームを渡り歩きながら、65試合に登板し記録を伸ばしたのだから、使い勝手が良かったのは確か。8位のケント・テカルヴなどは40歳になるシーズンに94試合という史上2位のシーズン登板記録を作っている。故障なく長くプレーするのはもちろんだが、さらに多くの選手が登板機会を減らす選手生活の晩年まで戦力として働くことで、登板数を増やせるようだ。

(『MLBアンチャッタブルレコードの真実』石川哲也)