チーム目標を掲げることは、チーム作りにおいて重要になります。その内容は、以前の記事で説明した「目標設定」のポイントを踏まえていれば良いでしょう。

効果が表れるような「目標」を設定する方法

「具体的」な目標を立てて、漠然としたものではなく明確なターゲットを設定します。かつ「現実的で挑戦的」で、到達できそうな程度のレベルで設定し、チーム全体のやる気や自信につながるような目標にしましょう。

ただひとつチーム目標について注意しておきたいのは、「他の選手がやってくれるだろう」という〝社会的手抜き〟というものが生じ、チームの全員がひとつの目標に向かって団結しない場合が出てきます。目標に対して全員が関わる〝目標関与〟がなされるよう、指導者は設定するチーム目標を工夫する必要があります。個々の設定した目標とともに、チーム目標でも達成感を味わえるよう考えておきましょう。

またチームを立ち上げる際に、チーム内で相互の信頼関係を築き上げるためにコミュニケーションを取ることも必要になります。しかもそのコミュニケーションは一方的なものではなく、双方向から発せられるようなコミュニケーションです。

まずは自己紹介の仕方から工夫を加えると、チームワークの質が変わってきます。自己紹介者は肩書を述べるだけではなく、それに対して他のメンバーが質問するなどインタビューをして、自己紹介者の人物像やチームにどのような影響をもたらしてくれるかを話し合います。それがチーム作りにおいて効果を生む、という研究成果が実際に得られています。

実際にも日本代表のような選抜チームが構成される場合には、選手個人による目標や自己の役割についてプレゼンテーションを行い、それに他のメンバーから感想を受けているような事例もあります。選手間の相互理解、または自身のチームに対する理解が促進されるため、本音でのコミュニケーションがチームの結束につながっていくのです。

このようなコミュニケーションを取る機会を持つことをいとわず、コミュニケーションスキルを向上させる意味でも、チーム結成時に取り入れてみましょう。

※『note』より加筆・修正。

(「パフォーマンスを上げるためのスポーツ心理学」松山林太郎 )